happy halloween U














細かく彫り込まれた木の扉に乾いたノック音が響く。
その独特のリズムはヴェノムの来訪であるという証。





「…来たか、入りなさい。」

「…失礼します」
静かに扉が開き、ヴェノムがエディを抱いたまま現れる。


部屋の奧にしつらえた黒皮のソファ。そこにザトーが優雅に脚を組み、座っていた。
「やはり来ましたねぇ、ヴェノム」
「…はぁ。申し訳ありません…」
「いいえ。たかだか菓子の為なんかに咎めたり等しませんよ…。私の可愛いエディであるとしてもね。」

脚を組み変え、顔に掛かる前髪を掻き上げる…そんな仕種が皮肉な程似合う。その様子をヴェノムはぼーっと見ながら、
何でハロウィンごときにこんなシリアスな場面になってんだろう…と一人素朴な疑問を抱いていた。


「え…と、でしたらザトー様」
「何故呼んだのか。そう聞きたいのでしょう。」
「…。」

「今日一日、エディに付き合ってあげて下さい。」
「エディに…ですか?」
「そうです。聞けばエディは今日はハロウィンと知り、一度体験してみたかったようでしてね」
ちら、とザトーはエディに視線を移すと、エディはご機嫌な様子でこくり、と頷いた。
「エディ一人で行かせるのは心配ですので。ヴェノム、あなたが付いていてあげてくれませんか?」
「私は構いませんが、もっと華やかな者を選ん…」
「いえ」

静かに、しかしぴしゃりと遮るようなザトーの言葉に、ヴェノムは幾分緊張する 。
「エディはヴェノム、あなたを所望しているようですよ?」
「ォゥ!えでぃハう゛ぇのむト行キタイ!」
「そうなのですか…分かりました。とりあえずエディと組織内を回ればいいのでしょうか」
「エディの好きにさせてあげて下さい」
「了解しました。…では」


そう言ってエディと部屋を出ようと踵を返そうとした時

「あ〜待ちなさい、ヴェノム。…これを」
ザトーがそう言って差し出したのは。


「…私も仮装しろと…?」

「エディが望んでますから」
クスクスと楽しそうに笑うザトーに、
エディをダシに使ってるんじゃないかと思った。が、矢張り断る理由もあるはずもなく。

「…はぃ…」
「そうですか、よかった。エディも喜びます」

「ナンデう゛ぇのむハ泣キソウナンダ?」
恥ずかしいからだよ!…とは言えないヴェノムだった。












「…着替え終わりましたか」




「うぅ…」
「ワァ!う゛ぇのむ似合ウゾ〜」
ヴェノムの頭にはエディとお揃いの黒いとんがり帽子。そしてその帽子の色に合わせた、やけに深くスリットが入ったワンピースを着ている。
背には赤い裏地が よく似合う、これもまた真っ黒のマント。

「可愛いですよ、2人共」
「…あんまり嬉しくないです…」

「ソレジャアう゛ぇのむ、早速行コウ!」
「うん」
エディとお揃いのカボチャのバケツをザトーから貰う。エディのよりは少し大きめ。

「ではまず私からあげましょうね」
そう言うと、ザトーはテーブルの上に置いてあった袋に手を入れ、2人のバケツの中へぱらぱらと音を立ててお菓子を入れた。
色とりどりの包みにくるまれた、キャンディやクッキー。それを目をきらきらさせながらエディは見つめている。

「ガマンガマン〜」
「皆の所に回った後に食べようね」
「ウン!」

「それではザトー様、行って参ります」
ぺこりと頭を下げた拍子に大きなとんがり帽子が落ちそうになるのを慌てて直すヴェノム。
そんな可愛らしい仕草をザトーは可笑しそうに笑っている。
「はい。行ってらっしゃい。回り終わったらまた来て下さいね」
手をふりふりと揺らして見送るザトー。この人はこの手の行事が好きなのだろうか。




とりあえずザトーの部屋から出、エディを抱き抱える。

「ジャア、マズハ誰の所ニ行コウカナ〜」
「そうだね…」

組織の長い廊下を歩きながら、ヴェノムとエディは次に向かう部屋をどこにしようかと決めていた。

「この組織にお菓子を用意してる人なんているのかな…」
「用意シテナクテモ、女ノ人ナラ部屋ニ置イテアルカモ〜」
「女の人…か」

そう思うと行き着く先はもう決まっているに等しい。


「あんまりこの格好、見せたくないんだけどなぁ…」
はぁ、と溜め息を漏らしながら歩き出す。最初の目的地へ。

















まぁ予想は出来ると思いますがね。3話以降を誰からにしようか迷い中…
要望があれば優先しますぜ!(まぁたそんな身内しか反応しない案だして…w)

今日は管理人、姉からグリコ貰いましたよグリコ!!懐かしい味ですよね、多分グリコでしか
味わえない味だと思いますww

今なら300m走れそうです、ハイ。






 マエ。 モドル。  ツギ。